■新たな出発

北海道・東北ブロック役員柳田 美喜子

令和3年3月、社会的にコロナ感染症が終息せず、当院が感染症指定病院として役割を発揮している真っただ中に、自身は39年間の看護師生活に幕を閉じた。この状況での定年退職は心痛む思いではあったが、定年が節目と思って頑張ってきた自分の限界と感じた。大学病院で30年、盛岡市立病院で看護部長として9年、あっという間とは言えないが自身の人生と共にあった誇れる職業であった。

看護師という職業を選択したのは、当時「資格を取っておけ」という親の願いを叶えるため・・・であった。しかし、その資格のお蔭で、自身のキャリアを培いながら子供達を育てあげた。その時々で仕事上の辛さや孤独を感じたこともあったが、何よりも「大丈夫だよ」と励ましてくれて、喜びややりがいを感じさせてくれた先輩や仲間、協力してくれた家族のお蔭で頑張ってこられたと感謝している。

4月からは、盛岡市役所の「子ども家庭総合支援センター」で子ども家庭相談支援員をしている。きっかけは、おととし、盛岡市から「市立病院で産後うつの親子ディサービス的な支援ができないか」と依頼されたことである。産婦人科がない当院では実施できなかったが、とても残念な気持であった。昔から子どもが好きで、自宅で無認可の保育所をしたいと夫に発案した若かりし時代もあったが、夫に「何かあると大変だから」と諭され夢は萎んでいた。助産師ではないので、産後ケアは難しいが、子供に係わる相談業務なら「私もやりたい!」と即思えたのである。母親や子供の悩みを心から聴ける知識と態度を得るために、去年心理カウンセラーの資格も取得した。認定看護管理者としての実践は難しいが、培ってきた能力は活かせる現場であり、社会のどの場所でも「看護」は求められていると実感している。

定年退職後、自身のやりたかったことに挑戦できるのは、とても恵まれていると感じる。新しい環境で新しい仲間と、子育て相談・家庭訪問・学校・関係機関との連携を図る仕事をしながら、第2の人生を謳歌している。これからの人生は「手ごたえ・やりがい・生き甲斐」を大事にした生活を送っていきたい。



2021年5月28日


 

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