私はもともと旅好きなのですが、コロナが少し落ち着いていた6月下旬、大変強行軍なスケジュールで金沢‐大分間を車で移動しました。娘の旅をサポートする名目で、夫と一緒に突然「行こう!」となったので、はじめは車中泊でいいかな…と思っていました。でも、1日目が寝ずの移動だったので、さすがに2日目は布団で寝たいと思い、「どこでもいいや」のノリで宿を予約しました。
その宿は山のてっぺんにあって夜景が有名でした。天蓋のついたアジアンテイストの広々としたお部屋、なのに宿の名前は●●荘(めっちゃ和じゃないですか?)。1人1泊朝夕食付きで11,000円とリーズナブル。夕食は地鶏のすきやきとフグのから揚げ、朝はおにぎり2個と紙パックのお茶(面白くないですか? )。とても興味がわきました。
当日、宿のそばまで来ているのに、道路工事も相まって今一つ場所がわからない…迷いに迷って、チェックインの時間に遅れての到着となりました(もちろん一報は入れました)。夫が「看板が小さくてわかりづらかった~」と悪気なく言ったのですが、男性スタッフは即座に守りに入り、「条例により、大きな看板が立てられないんです」と。一瞬、重い空気が漂いました。私たちは、そんな感じなんだ…と やや興ざめした感じで夕食に向かいました。でもここからです。男性スタッフの印象がガラッとかわりました。その人は一人でフロントと食事の接客を担当していました。その時は私たちを含み5組の宿泊客がいましたが、絶妙なタイミングで客に声を掛け、巧みな話術で場の雰囲気を盛り上げるのです。私たちに対する巻き返しもすごかった…プロですね。どうしたら、その時間を生み出すことができるのだろう?秘訣は食事のメニューです。『すき焼き』『地鶏』と言えば聞こえはいいですよね。そこに価値づけしつつも手間はかかりません。はじめのセッティングだけ行えば、あとは各自のペースで箸を進めてくれるので介入不要です。人件費削減!メニューも2種類なので材料費削減!接客技術で客は満足。そして、お部屋のベッドはシモンズで心地よく、アメニティも数は少ないけど質はいい。客室は数を減らして一部屋を広くしたのかな?(何せ、●●荘ですから)素晴らしい発想の転換。
結論、あれもこれもじゃなくて量より質、コスト削減でリーズナブルな価格、そこに夜景という付加 価値も加わって見事でした。
朝もおにぎり2個だけなのは、その後に名物の讃岐うどんを食べてもらおうという目論見かな?帰り際にMAPをいただきました。地域振興のネットワークがいいですね。プライベートでもこんなところばかり目について…職業病でしょうか(笑)。
2022年7月13日