■基礎教育の学生が看護管理を理解するには

常務理事 北原和子(川崎市立看護短期大学)

 私の看護管理は、師長になってからを通算すると20数年の管理実践が身体に沁み入っていることになります。昨年、その沁み入っている経験を踏まえ基礎教育の3年生に看護管理の授業を医学書院の「看護管理」の分類による「看護ケアマネジメント」と「看護サービスマネジメント」の講義をしたのですが、この2つの違いを学生は理解しにくいようで、「解んな~~い」「むずかし~~い」という反応でした。


 本校は、11月にテーマ別看護論+実習がり、学生が選択したテーマを学習して自身のテーマについて臨地実習をする学習の機会があります。私は、「看護マネジメント」のテーマを担当しているのですが、このテーマを選んだ学生の1人が手術を受ける患者の術前訪問から入室時、手術中、帰室時、術後訪問までの“看護ケアマネジメント”をテーマに進めました。学生は、手術室の主任さんや手術看護認定看護師さん等の指導を受けました。そこで「先生、指導者さんからカレーを作ることを例えに“看護ケアマネジメント”を説明してもらい、凄くよく解りました」と発言がありました。私も授業で全身清拭を例えに同じように患者の重症度や個別性を踏まえて具体的に説明したつもりでしたが、理解が得られずこの発言を聞きショックでした。しかし、身近なカレー料理を例えると学生は、理解しやすいことを学び、この例を活用しようと・・・。また、休みの日にテレビでゴルフの試合を見ていた際、解説者が石川遼の解説を「石川遼がどのようなコース・マネジメントをするかにかかっていますね」という説明を聴き、ゴルフも料理も他の全てに及んで看護と同様にマネジメントがなされていることを今さらながら納得しました。


 今年度も既に看護管理の授業がスタートしました。昨年の反省を踏まえ、看護管理の全体構造を図式化して、これから学ぶ看護管理を可視化したこと、カレーとゴルフのマネジメント例を交えて“看護ケアマネジメント”を説明した結果、「看護管理の全体がなんとなく解った」「具体的な例を用いた説明だったので理解できた」と昨年より理解が得られホッとしています。しかし2回目の授業の冒頭で「看護管理の目的は?」の質問に学生は「・・・???」と首をかしげており、これからも奮闘は続きそうです。


 ちなみにこの事例の学生と就職先の病院で会い、「希望しなかったのに手術室の配属でした」と笑顔で答えていました。

2015年5月14日


 

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