日本認定看護管理者会役員のつぶやき
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- 地域医療の未来を支える看護人材育成ー公的4病院合同ナースインターンシップの取り組みー
財務理事 奥野佐千子


地域医療の未来を支える看護人材育成ー公的4病院合同ナースインターンシップの取り組みー
医療を取り巻く外部環境は、近年急速に変化しています。少子高齢化の進行、医療従事者の都市部集中、慢性的な人材不足など、これらの課題は、特に地方の医療機関に深刻な影響を及ぼしています。地域医療の持続可能性を確保するためには、看護職の確保と定着、そして潜在看護師の再活用が不可欠です。
こうした状況を背景に、京都府舞鶴市では「公的4病院合同ナースインターンシップ」という独自の取り組みを展開しています。公的4病院が連携し、看護学生を対象に2日間で各病院を巡る体験型プログラムを提供、臨床現場の実際に触れながら、看護師としての職業観を育む機会となっています。

さらに2025年度からは、看護師資格を持ちながら現在は現場を離れている「潜在看護師」向けの病院説明会も新設しました。ブランクや再就職への不安を抱える方々に対し、個別対応の柔軟なプログラムを用意しています。参加者の経験や希望に応じて日程や内容を調整し、安心して現場復帰への一歩を踏み出せる環境を整えています。
インターンシップや病院説明会には、舞鶴市より交通費・宿泊費の一部補助(最大3万円、補助率75%)もあり、市外在住者にも配慮したプランです。看護学生にとっては進路選択の参考に、潜在看護師にとっては再び看護の道へ戻るきっかけになればと考えています。
看護管理者にとって、地域主導による人材育成と定着支援は、単なる人材確保の手段ではありません。これは、地域医療の持続可能性を高め、医療・看護の質を守るための根幹とも言える取り組みです。舞鶴市の事例は、看護職のキャリア形成を支援しながら、地域医療の再構築を目指す先進的なモデルケースとして、多くの地域医療の現場に示唆を与えることができるのではないでしょうか。今後、こうした地域と医療機関が連携した取り組みが全国に広がり、看護管理者として地域医療を支えていけることを期待しています。
https://www.city.maizuru.kyoto.jp/kenkou/0000013766.html
2025年8月28日