学会活動等の案内・報告
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第29回 日本看護管理学会学術集会 インフォメーション・エクスチェンジ4
- 日時
- 2025年8月22日(金)11:30~12:20
- 場所
- 札幌教育文化会館 3階 第5会場
- テーマ
- 認定看護管理者としてのキャリアデザインを考える
~日本認定看護管理者会のネットワークを活用した「人材登録制度」の展望~
Ⅰ.目的
日本認定看護管理者会の「人材登録制度」の活用可能性を探りつつ、認定看護管理者としてのキャリアデザインをどのように描いていくかについて考える
Ⅱ.話題提供者
常務理事 藤満幸子氏
Ⅲ.参加人数
93名(役員含)
Ⅳ.内容
Ⅵ.まとめ
Ⅶ.アンケート結果
1.回収結果
回答者数は49名、回収率は52.7%であった。
2.属性
勤務先は、33名(67.3%)が病院であるが、教育・研究機関、看護職能団体、介護福祉施設、訪問看護ステーション等多岐に渡っていた。職位は、看護部長相当職が19名(38.8%)と最多で、約7割が看護師長以上の看護管理職であった。CNAではない方7名(14.3%)や非会員の方24名(49%)も含め、参加者の55.1%が「テーマに興味があった」という理由で参加された。
3.本会の「人材登録制度」について
認知度は24名(49%)が「知っていた」と回答しているが、活用経験があると回答した者は2名(8.3%)であった。CNAとしてのキャリアデザインを描くうえで、本制度がどのように活用できるかという問いに対する回答は、下図の通りである。
注)表中7・8番目の項目は「その他」を選択した自由記載であり、「現在の課題解決へのヒントを頂く(例えば、新設加算取得にむけた組織運営の好事例共有など)」「数が少ない領域(訪問看護)内でのCNAの交流」であった。
4.自由記載
アンケート自由記載では、人材登録制度に対する大きな期待と課題が寄せられた。期待としては、制度を通じてキャリアデザインを描きつつ、収益性ある組織運営の好事例や成果を共有できること、また実践者同士のつながりを強化し、試験受験者の支援や多施設での課題検討に活用できることが挙げられた。さらに、人口減少下での地域共生や病院間の人材活用においてCNAのネットワークが有効であること、医療機関に限らず福祉・在宅分野での活躍資源となること、そして組織に所属しないCNAにも能力発揮の機会を与えることへの期待が示された。一方で、課題としては個人情報管理や更新情報の確実な共有、制度認知度やシステム運用の不十分さ、登録のメリットが不明確である点、期待に応えられず登録を躊躇する声もあった。今後は、登録者自身がリソースであることを自覚し、使い使われる制度としてブラッシュアップを重ね、地域や分野を越えた活用につなげていくことが求められる。
第28回日本看護管理学会学術集会 インフォメーション・エクスチェンジ39報告
- 日時
- 2024年8月24日(土)15:20~16:20
- 場所
- 名古屋国際会議場 第8会場
- テーマ
- 認定看護管理者の実践/評価の均衡と求められる役割
~認定看護管理者会による「看護管理者処遇アンケート」結果から~
Ⅰ.目的
「認定看護管理者(以下CNA)による看護管理実践の付加価値」と「CNAに対する評価」との均衡について意見交換することにより、「CNAに求められる役割」について考える。
Ⅱ.話題提供者
- 認定看護管理者会 副会長 津島準子氏
「看護管理者処遇アンケート」2021年・2023年の結果から - 社会医療法人生長会
法人本部事務局 看護統括部長/ベルランド総合病院 看護部長 前原陽子氏
「看護部長としての管理実践と認定看護管理者としての評価」
Ⅲ.参加人数
84名(理事・役員・話題提供者を含む)
Ⅳ.内容
Ⅴ.意見交換
- 質問
- CNA手当について、取得者全てを対象にすべきか。
- 前原氏
- 全員に支給するというのも、底上げにはなると思う。ただ、誰にCNAを取らせるのかは組織として考えるべきであり、適任者の選定についてルールを決める必要がある。
- 意見
- CNAは更新制で、資格取得時にも体系的な教育を受けていることから、良い手当だと考える。それを形にして継続していくのが大切だと思うので、次年度に向けてもう一度考えてみたい。
- 質問
- 自治体病院で、認定看護師にも手当がついていない状況である。手当支給に際し、能力評価や実績評価の設定について話し合いはあったか。
- 前原氏
- 管理者は目標管理、法人全体では人事考課がある。診療報酬につながる資格は、その資格を有することで組織に大きく貢献していると評価される。
- 意見
- 診療報酬に関連する資格だけに手当てをつける事に疑問もあって決まらない。管理者も管理手当が支給されているため、更に上乗せする意味を説明できない。課題である。
- 前原氏
- 認定資格を取得するには、5年の経験や長期の研修参加が必須であり、組織としては育てる事にも力を注いでいる。診療報酬の要件は後から付くことも多いので、先を見越して、手当を要求していくことも必要である。
- 司会
- CNAならではの管理実践や付加価値はどう示していくべきなのか。
- 津島氏
- CNAの活動は、意外と知られていない。CNAとして自身の実践や考え方を意図的に説明したことはないと反省する。どなたか、実践を知ってもらうために行っていることがあれば教えてほしい。
- 意見
- 急性期から慢性期に移って、CNA資格の有無を院長から聞かれた。診療報酬にはつながらないが、病院だけでなく地域を巻き込んでリーダーシップを発揮できるよう、地域に貢献する役割が求められている。
- 質問
- 手当の額はどのように決めたのか。ベンチマーク分析を行ったのか。
- 前原氏
- 専門看護師は院内からの育成ではなく外部からの採用であったことと、夜勤がないことなどを考慮して手当が高くなった。CNAは金額よりも知名度を上げることが優先だった。組織内での決定であり、ベンチマークをするほどのデータがないので、他との比較はしていない。
- 意見
- CNAは組織内で認知されていないことが多いので、役割を示していくことが必要だと思う。
- 司会
- CNAの認知の問題は、研究プロジェクトの中でも出てきている。周知するためにも成果を出していくことが大切だと考えていたが、周知のために手当てが必要だとの考え方もあると感じた。
- 質問
- MBAを取ってからCNAになっているが、MBAでは得られなかったものは何か。
- 前原氏
- 看護の現場で経営的視点を活かす、CNAのモデルが身近におらず、自ら資格取得を目指した。役職ではなく資格として保証されていることが、実践での自信につながっている。
- 質問
- 資格を取ることの意義を今一度考えたい。日本は持っている能力で評価するが、米国は何ができるかで評価する。看護職は、「やって当然」が多く、他職種に比べて自己アピールが少ない。CNAも自分たちなりの評価基準をつくって実践をアピールすることが必要だと思う。
- 司会
- 優れた看護管理実践を示すとなるとハードルが高いが、日々の実践を示すことが大切だということだろう。
- 意見
- 病院として医師不足を補うために認定看護師を育成することになり、質を維持するためには自己研鑽の支援も必要と考え、手当がついた。その時、CNAは認知されておらず、自己アピールも少ないため手当がつかなかった。CNAの資格を持つ看護管理者はどこが違うのかを知ってもらうことが大切だと思う。
Ⅵ.まとめ
Ⅶ.アンケート結果
1.回収結果
回答者数は10名であった。参加者数は84名(理事・役員・話題提供者を含む)であったため、回収率は約15%であった。IE開催時間が学会会期終盤であったことが、参加者が少なかった一因と考えられる。
2.属性
勤務先は、9名(90%)が病院勤務、1名が大学勤務であった。職位は7名(70%)が看護部長・副看護部長相当職であった。本会の会員のみならず、認定看護管理者ではない方1名(10%)、非会員の認定看護管理者の方4名(40%)も参加していただいた。本IEへの参加理由は、参加者の6名(60%)が「テーマに興味があった」という理由で参加され、次いで「認定看護管理者会の活動に興味があったから」3名(30%)、「話題提供者の講演を聴きたかったから」1名(10%)であった。
3.参加者が考える「CNAに求められる役割」
限られた時間の中では参加者全ての方との意見交換は困難であるため、参加者が考える「CNAに求められる役割」を共有すべく、下記の2項目についてアンケート調査(自由記述)を実施した。
- 1)「CNAによる看護管理実践の付加価値」とはどのようなものか
-
・病院と患者さんのことをスムーズに話し合えること
・一定の研修やテストを受け、公に認められた資格保持者が在籍すること
・安全に、より質の高い看護実践がされていること
・組織分析をして、組織の状況に応じて、効果的に看護の質をあげることができること
・根拠を持った看護管理実践を言語化でき、アウトカムを示すことができること - 2)「CNAによる看護管理実践の付加価値」と「CNAに対する評価」との均衡についての考え
- ・資格を取得しても、評価されるほどの実績を残せていない
・CN、CNS、CNAの教育課程が違うのに同じ付加価値・評価で良いかは疑問だが、当院でも評価はできていない
・CNAの付加価値をCNA自身や周囲の人も認識していないので、評価されない状況にある
・『私は認定看護管理者である』とアピールする管理者が少なく、組織で誰が認定看護管理者であるかわからず知られていないので評価もされない
・ネーム(資格)バリューに価値があり、そこにインセンティブ(手当)がつく
・付加価値は自分たちでつけるものであるため、自身の実践をもっと可視化する必要がある - 3)CNAに求められる役割
-
・地域包括ケアシステムの中で、組織内に留まらず、地域の看護の質向上を考えることができること
・自身の施設だけでなく、地域に求められることを理解し実践する。地域に働きかける。
・仲間を増やし、ヒューマンネットワークを活用
・明確なビジョンを持ち、良いリーダーシップを取る
・経営に参画する
・根拠に基づいた看護管理実践を言語化し、伝える - 4)その他
-
・認定看護管理者の資格を取って終わりではなく、学んだことを実践することが必要であると再確認し、元気が出た
・認定看護管理者1年目ですが、今後の活動の参考になった
第27回日本看護管理学会学術集会インフォメーション・エクスチェンジ5の報告
- 日時
- 2023年8月25日(金) 10:30~11:30
- 場所
- 東京国際フォーラム 第8会場
- テーマ
- 認定看護管理者として取り組む新たな地域連携の形
Ⅰ.目的
認定看護管理者(以下CNA)として未来を見つめ、急速に進む患者の高齢化とそれに伴う在宅でのケアニーズへの具体的対応を検討する。
Ⅱ.話題提供者
- ライフ・ケア・コンシェルジュ(株)LCC訪問看護ステーション事業本部長 三枝克磨氏
「病院敷地内に病院関連法人(企業)ではない訪問看護ステーションのサテライト事業所を開設した事例」 - 堺市立総合医療センター看護局長 澤田恵美氏
「完全非公開型医療介護専用SNSを活用した患者支援」
Ⅲ.参加人数
175人(理事・役員、話題提供者含む)
Ⅳ.内容
Ⅴ.意見交換
- Q
- 院内に訪問看護ステーションを設置して良かったという具体的な事例があれば、教えて頂きたい。
- A
- (三枝氏)退院前から訪問看護ステーションの看護師が病院看護師と情報交換が密にでき、事務的な手続きがスムーズになった。院内のステーションという物理的な距離の成果だと思う。
- Q
- MCSの導入対象者に選択基準はあるか。
- A
- (澤田氏)創傷処置に20例 腹膜透析に5例をはじめ、退院後訪問した後のセルフケアの継続に役立てている。画像でのやり取りがあった方が良く、導入の同意が得られた方を対象としている。
- Q
- 専門・認定看護師が地域と連携しており、リアルタイムにフィードバックできていることが、とても重要な点だと思う。どのように時間を確保しているのか、教えていただきたい。
- A
- (澤田氏)皮膚・排泄看護認定看護師は専従で活動しており、慢性疾患専門看護師は透析室の師長を担っている。また治療法の選択・意思決定に関わる外来も担当しており、外来スタッフとともに取り組んでくれている。
- Q
- フリーで活動しないと対応は難しいと考えるか。
- A
- (澤田氏)今後はこのような活動の需要は高まる。ただ、対象を拡大すれば情報の管理がむずかしくなり、何らかの組織的対応は必要になる。
- Q
- MCSと電子カルテは連動しているか。またコストはいかがか。
- A
- (澤田氏)電子カルテとは繋がっていない。専用のPCを使用している。MSCはセキュリティがしっかりしているし、実際には先方の施設と誓約書を交わして活用している。
(三枝氏)サービスによっては有料になる部分もあるようだが、無料の範囲で十分活用できている。 - Q
- 患者サービスとしては良い点が多いが、病院にとってはいかがか。
- A
- (澤田氏)患者さんが重症化せず、再入院が減っていることは大きなメリットである。
(三枝氏)Faxや電話の手間や時間が削減でき、新たな時間活用ができることも有益と考える。 - Q
- 敷地病院と連携する中で、訪問件数、診療報酬については病院から情報をもらうのか。また師長会に参加するとの説明だったが、どのようなテーマで話し合われるのか。
- A
- (三枝氏)地域での実績は、実際の訪問件数で見直すことができるので、訪問看護ステーション単独で作業できる。病院とは日々連携しており、担当の副部長と方向性を決めている。外来師長、主任たちとステーションの管理者が実務者レベルで話をしている。師長会では、訪問看護ステーションについて色々知ってもらっている段階である。
- Q
- 認定看護管理者としての知識や経験が、今回の取り組みにどう役立ったかを教えてほしい。
- A
- (三枝氏)地域に貢献し求められる存在になることが大切だと考えている。常に自由な発想で自分から地域に出て価値を創造することを考えている。認定看護管理者であるからできることだと思う。
(澤田氏)現代の日本、社会背景を鑑みると高齢化、生産年齢人口の減少など課題は山積みである。そのような中で、自分たちの役割は何かを常に考えている。視座をもって地域を、社会を俯瞰して看ることができるよう努力している。リソースナースの活用、スタッフが在宅をイメージできるような工夫は、認定看護管理者として大切な取り組みだと考えている。 - Q
- 今後、ますます介護、福祉施設との連携が必要になってくる。病院と訪問看護との連携は紹介いただいたが、他施設や地域との関わりをより具体的に聞かせてほしい。
- A
- (三枝氏)地域間でのFAXでのやりとりもあるが、積極的に足を運び、対面してお話しすることを大切にしている。地域で開かれる会議は大事だと思うし、病院や現場の管理者に顔を知って頂く良い機会である。
(澤田氏)当院は行政や大学と共同して「疾病予防」「フレイル予防」に取り組んでいる。また保健センターや図書館とブックリストを作成して、健康に関する情報を紹介している。 - Q
- 病院と在宅・訪問で働く看護職がお互いを理解するにはどうすればよいか。
- A
- (三枝氏)わかってくれるのを待っているのではなく、自分たちからアプローチを始めている。確かに医療と介護は分かれていると思うが、あきらめずに働きかけていきたい。
(澤田氏)当院は急性期病院だが、病院看護師が患者さんのご自宅に伺うことから始めた。退院後の患者さんの生活を知ることで、病院でのケアを振り返り新たな発見もできる。看護師の提案で患者さんが自宅へ帰る決心がつくこともあり、やりがいに繋がる。まずは、できることから一歩を踏み出したい。本当の意味での地域連携は、まだまだこれからだと考えている。
Ⅵ.まとめ
Ⅶ.アンケート結果
1.回収結果
回答者数は21名(回収率は約13%)であった。
2.属性
20名(95.2%)が病院勤務、12名(57.1%)が看護部長相当職であった。認定看護管理者ではない方3名(14.3%)、非会員の方6名(28.6%)を含め、参加者の多く(66.7%)が「テーマに興味があった」という理由で参加された。
3.参加者が考える「地域連携の形」
限られた時間の中では参加者全ての方との意見交換は困難であるため、参加者が考える「地域連携の形」を共有すべく、下記の2項目について自由記述で回答を求めた。なお、【】は回答内容を分類したカテゴリー名を示す。
- 1)CNAとして「在宅支援」をどのように進めていくと良いと思うか
-
- 【地域を知る】
-
・在宅の状況を先ずは知る事が重要
・まずは管理者自らが在宅を把握する
・在宅医療を理解し患者、家族が求めている支援に結びつく情報を伝える
-
- 【連携の構築】
- ・訪問看護と連携室と協働
・自院と近隣病院、クリニック、訪看との顔の見える関係からの連携
-
- 【スタッフ教育】
- ・急性期の当院でも、スタッフの意識を変える事から
・看護職員の理解をまず深める
・地域に目を向けているのは当然として、自施設の在宅支援のレベルを上げるような関わりを強化する仕組みを作ることも大切
-
- 【覚悟】
- ・やるべき使命
- 2)あなたの施設で取り組んでいる「在宅支援」はどのようなものか
-
- 【訪問事業の展開】
- ・訪問看護、訪問診療
・来年、ステーションを立ち上げる予定
-
- 【連携強化】
- ・他施設(療養型)とのWEB会議
・病棟から、退院前訪問、退院後訪問指導をやっている
・退院前、退院時訪問を看護職だけでなく、多職種で行なっている
・退院調整係が多職種と協働して調整している
・入退院支援
-
- 【スタッフ教育】
- ・ラダー研修に訪問看護ステーション研修を実施